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個食の需要受け、大手コンビニ・食品加工企業がカット野菜の取扱い増

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コンビニエンスストアや食品加工などの企業が、カット野菜の取り扱いを増やしています。
単身世帯が増えていることに対応して、調理に手間がかからない食材を提供するのが目的です。

大手コンビニチェーンのセブン-イレブンでは、昨年末に販売を開始した独自ブランドの「セブンプレミアム」のカット野菜を、2月中に全店(約16,000店)に広げる予定です。

生産委託先を低温管理の徹底した工場に切り替え、カット野菜の鮮度を高めました。値段は一袋100円の商品が主流で、簡単・低価格でサラダや炒め物などの一品料理が作れます。

ローソンは農法にこだわったカット野菜を全国の約10,000店で販売しています。
ローソン専用農場「ローソンファーム」などから野菜を調達することで、品質を安定させています。

「人の健康は健全な土づくりから」を理念に挙げる中嶋農法で栽培された野菜を取り扱っているのが特徴的です。ローソンでは契約農場を含めた調達先の数を、2017年度末までに5倍の400ヶ所に増やす計画を立てています。

需要の増加を受けて、食品メーカーもカット野菜の増産に乗り出しています。
カット野菜大手のキユーピーでは、今年10月に10億5000万円を投じて広島県三原市に工場を建てる他、既存工場のラインも増やす予定です。1日あたりの生産能力を現状より3割高の約100万パックとして、スーパーなどに販売します。

キユーピーはオゾンを使ったカット野菜の低コスト洗浄技術を開発。
多くのカット野菜は塩素系洗浄剤で洗浄されており、独特のニオイや鮮度が劣化しやすい問題がありました。

オゾンによる殺菌は、微生物の繁殖を防ぐ他、食材の味を損ねにくいのがメリットです。(参照:薬品だけじゃない!3通りのカット野菜の殺菌方法

新技術は微細化した界面活性剤の泡を使用する為、低濃度のオゾンで洗浄が可能で、装置価格は2000万円程度で済みます。

政府はこうした動きに対応する為、カット野菜専用の野菜を作る農家に補助金を出して野菜の生産性の向上を支援します。

対象となる野菜は、カット野菜などの加工用に使われる頻度が高いキャベツ、ニンジン、タマネギ、ネギ、ホウレンソウの5品目。食品加工や外食企業など、出荷先が確保されていることが支給の条件です。

助成金は1年目が10アール(10m×100m)当たり70,000円、2年目が50,000円、3年目が30,000円。農薬や化学肥料を減らす為の土作りや、病害虫を防ぐ農業資材などに充ててもらう計画です。早ければ2月中に公募が開始されます。


カット野菜の需要が増加した背景には、一人で食事をする機会が多い単身世帯が増えたことが挙げられます。

一人ひとり別々に食べる「個食」の広がりと、高齢者世帯の増加が重なって、カット野菜に代表されるような「少ない量を小分けで購入でき、調理の手間も少ない」食材のニーズが高まりました。

忙しい時の間に合わせの食材のイメージが強かったカット野菜ですが、日々の食卓の一品へと食べ方も変化しつつあります。大手コンビニによると「最近はチキンやカツと一緒に買い、夕食時に盛りつけて食べる消費者も目立つ」そうです。

一方で、政府が補助金を使って農家を支援する理由には「輸入野菜との競合激化」があります。2003年に3%だったほうれん草の輸入品のシェアは2012年に11%に増加して、玉ねぎは17%→24%に高まりました。

また大手企業と契約できるのは農業法人や有力な農家グループなどが中心で、補助金は大規模経営の育成の狙いもあります。